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予想の斜め上を行く今回の安倍氏の辞任にはたじろいだ。国民にはなんのメッセージもなくただアメリカとの関係が気まずくなることばかり心配してる彼の辞任表明にはさらにたじろいだけど。もっとも八木秀次や中西輝政のようなファナティックな連中に吹き込まれた世界観でこの国を動かそうとしていた幼稚な男が政治の表舞台から退くことになり、まずはほっと一息、といったところだ。
しかしながら次の首相が誰になろうと「持てる者たち」は「構造改革」を押し進めろと圧力をかけ続けるだろう。 今でもメディアでは新自由主義者による「中国や韓国、あるいは他のアジア新興国に対抗して国際競争で勝ち抜くためには、高度集積化された労働力で生産現場を合理化しなければならない。そのためには非正規労働者が増加するのもやむを得ず、また正規労働者の労働時間もフレキシブルにする必要がある。」との論調が幅をきかせ、私たちも「何しろ競争相手は従業員が月給3000円で働く中国企業だし、わが国の労働ビッグ・バンも仕方ないのかな、まあおかげで今景気が良くなってきてるっていうし。」と無理矢理納得させられているかのようだ。 経団連メンバーに代表される新自由主義者は「これまでのようにいろんな規制によって経済活動が萎縮していては国際競争に勝てず国民が平均して貧しいだけの国になる。それよりも構造改革によっていろんなカセを外し、儲けられる人はどんどん儲けることが出来るようになれば儲かったお裾分けが国民にもおりてくる。それまでは改革によって生じた痛みはみんなで分かち合わなければならない。」という。 実際安倍氏は「構造改革」によって失業率も回復しGDPも上昇していると胸を張っていたし、もうすぐトヨタがGMを抜き世界第一位の自動車メーカーになるということを私たちもなにやら誇らしく感じているかも知れない。 さて、今やトヨタは空前の利益をあげ続け、銀行は税金による支援をとっくの昔に耳を揃えて返してしまった。そろそろ私たちにもお裾分けがやってくるときか? それについて経済アナリストの森永卓郎氏が興味深い記事を書いていたので、その記事に出てくる数字を整理してみた。(数字の出典などは元記事をご参照下さい。) --------------------------------------------- 完全失業率 2002年6月 5.5% 2007年6月 3.7% --------------------------------------------- 雇用者全体に占める非正社員の比率 2002年1〜3月期 28.7% 2007年1〜3月期 33.7% --------------------------------------------- 雇用者報酬(2001年度〜2005年度) -8兆5163億円 営業余剰(企業利益)(2001年度〜2005年度) +10兆1509億円 株主配当(2001年度〜2005年度) 3倍 資本金10億円以上の大企業の役員報酬(2001年度〜2005年度) 1.8倍 主要100社の大企業の役員報酬 2006年度のみで+22% 資本金1000万円未満の中小企業の役員報酬(2001年度〜2005年度) -3% --------------------------------------------- 企業利益のかなりの部分が本来私たちが受け取るべき報酬を削ったものだと分かる。そして私たちが派遣やアルバイトなどで将来設計も描けない不安定な立場に置かれる見返りにあげた利益は株主や企業の役員にジャブジャブばらまかれているのだ。 安倍氏が退陣したからと言って私やあなたのような「持たざる者たち」からさらに毟ろうとする「持てる者たち」の力が衰えた訳ではない。
by sivaprod
| 2007-09-13 07:00
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