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梅田芸術劇場に維新派公演「ナツノトビラ」を観に行った。
前回の「キートン」に残っていたウェットな部分をさらに剥ぎ取っていったような舞台だった。 モノクロの舞台装置にモノクロの衣装。南港公演で目を見張らされた舞台装置の劇的な転換もなく、またシーンとシーンとの抑揚もどちらかと言えばスタティックな感じ。 維新派の公演をこれまで見続けて来た同行者達もいささか残尿感を感じたようで、終わってからも「なんだかカタルシスがないよなあ。」と少々不満顔だった。(ていうか若干一名は途中で退屈して寝ていたし。) 確かに南港公演での劇場周囲の屋台も含めた土着的な身体性に惹かれて維新派が好きになった私にとっても、今回のとても綺麗で上品な劇場での公演は文句なしに「良かった!」とは言えないんだけど、それでもいかに衣装や舞台が抽象化されていてもそこここに匂ってくる「身体」はとても気持ち良かった。 以前知り合った役者さんが維新派のことをダイキライだと言う。彼曰く「維新派の芝居は役者は個を消されてみんな人形や!」と。 私は指揮通りに動くオーケストラの演奏者の事を人形とは思わないけど、「ナツノトビラ」では演者の「個」はさらに見えにくくなっている。なのに残った「身体」からは「個」が遠慮無くはみ出しているところが面白かった。 次の公演がどんな方向に進むのかは主宰者である松本雄吉氏の胸の内だけど、いっそ仮面を付けた芝居をしてくれんもんやろか? 追記: 舞台前のブースにミュージシャンが一人だけ座っていて、何かを弓で弾いたり叩いたりしていた。終演後にブースに近寄ってのぞき込んでみると三脚になにやらペーパーナイフのようなものがくくりつけられているのみ。なにこれ???と頭をひねっているとそばにいた人が「ダクソフォンっていう楽器です。」弾けるのは日本ではただ一人、ずっと維新派の音楽を作っている内橋和久氏だけらしく、どうやら弾いていたのはご本人だったらしい。
by sivaprod
| 2006-07-17 05:27
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